全国には国宝の十一面観音が7体あります。

白州正子さんが十一面観音巡礼という本に

女躰でありながら精神はあくまでも男”荒御魂を秘めて初々しく魅惑的な十一面観音の存在の謎。

とあるように、頭部に11の顔を持つ菩薩で、なぜか引き付けられます。

奈良時代から信仰を集め、病気治癒などの現世利益を祈願して十一面観音像が多く祀られています。

観音菩薩の中では聖観音に次いで造像は多いそうです。

多く作られた十一面観音の中で、国宝に指定されている十一面観音は 7体あり、7体のうち3体が奈良にあるんです。

聖林寺の木心乾漆十一面観音立像

室生寺の木造十一面観音立像

法華寺の木造十一面観音立像

意外なことに、長谷寺の十一面観音立像は重要文化財で国宝ではないんです。

十一面観音巡礼 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

国宝の十一面観音 7体のうち奈良にあるのは何体?

国宝に指定されている十一面観音は 7体あり、7体のうち3体が奈良
多く作られた十一面観音の中で、国宝に指定されている十一面観音は 7体あり、7体のうち3体が奈良にあるんです。

聖林寺・室生寺・法華寺の3体の十一面観音立像が国宝です。
この十一面観音立像は常時拝観できるものと、期間限定のものがあります。

車だと、1日で3つの寺を回ることも時間的には可能ですが、せっかくなら時間におわれることなく、ゆっくり向き合いたいですね。

国宝の十一面観音 奈良の3体は

奈良の3体の十一面観音立像は比較的拝観しやすいです。

聖林寺の木心乾漆

フェノロサの見いだされ、数多くある十一面観音立像の中で群を抜いて美しいといわれる十一面観音立像。
常時公開

鉄道:近鉄、JR桜井駅下車、南へ3Km

室生寺の木造十一面観音立像

金堂にある、十一面観音立像は常時拝観可能です。
が、例年春に特別拝観があり、普段は入れない金堂外陣から仏像を間近に拝観できます。

2019年3月9日 ~ 5月12日
(9:00 ~ 15:00)
料金 400円 ※特別拝観には特製記念品授与
入山料 中学生以上600円、小学生400円

桜も素敵ですが、石楠がすごくきれいなお寺です。
石楠の開花期は4月中旬〜5月上旬です。

近鉄室生口大野駅から室生寺前行きバス終点下車徒歩5分

法華寺の木造十一面観音立像

絶世の美女で、菩薩のごとく慈悲深かった光明皇后のお姿を彫り上げたと伝えられている9世紀前半の十一面観音立像は、通常非公開の秘仏で、春と秋の御開帳時の拝観になります。

2019年3月20日 ~ 2019年4月7日
参考に2018年の秋の日程をご紹介しておきます。
2018年10月25日 ~ 2018年11月12日
(09:00~17:00 ※受付~16:45)
大人1000円、中学生800円、小学生400円 (拝観料は本堂、慈光殿、華楽園の共通割引券)

近鉄新大宮駅下車徒歩20分

奈良の国宝の十一面観音 3体を巡るには

時期はいつがいい?

国宝の十一面観音立像 3体のある、聖林寺・室生寺・法華寺を巡るのは、
時期としては法華寺の春の特別公開時が1番おすすめです。
更に、室生寺の金堂の特別公開と重なる時なら、室生寺の十一面観音立像がより近くで拝観できるのでおすすめです。
2019年の場合なら
3月20日 ~ 4月7日です。

次におすすめは、
秋の特別公開時です。

2018年の場合
法華寺の特別公開は、10月25日 ~ 11月12日
正倉院展の、10月27日~11月12日と、ほぼ重なっています。

もちろん、それぞれお花や紅葉も素敵なお寺なので、その時期に合わせるのもおすすめです。

車の場合

室生寺(宇陀市)から聖林寺(桜井市)まで車だと40分弱

聖林寺(桜井市)から法華寺(奈良市)まで車だと45分程度と比較的移動しやすいです。

電車の場合

室生寺(宇陀市)⇒バスで約14分⇒近鉄室生口大野駅⇒近鉄で20分弱⇒桜井駅⇒徒歩40分またはバスで⇒聖林寺(桜井市)⇒徒歩40分⇒桜井駅⇒近鉄で40分~50分(大和八木&大和西大寺で乗り換え)⇒近鉄新大宮駅下車⇒徒歩20分⇒法華寺(奈良市)

となります。バスの本数が少ないのと、電車の時間で案外かかります。
春や秋の気候のいい日ならいいハイキングにもなりますが。。。

国宝の十一面観音は奈良以外はどこにあるの

では、残りの4体の国宝はどこにあるのでしょうか?

1.滋賀・渡岸寺(向源寺)の木造十一面観音立像
常時公開  長浜市
2.京都・観音寺の木心乾漆十一面観音立像
常時公開 京都市伏見区
3.大阪・道明寺の木造十一面観音立像
毎月18・25日公開 藤井寺市
4.京都・六波羅蜜寺の木造十一面観音立像
原則12年に辰年の1年のみ 京都市東山区

ということなので、六波羅蜜寺の木造十一面観音立像は比較的拝観しやすいです。

ぜひ機会があれば、こちらも回ってみて下さい。

十一面観音巡礼って

白洲正子さんエッセイ、十一面観音巡礼は

奈良の聖林寺の十一面観音を始めに、泊瀬、木津川流域、室生、京都、若狭、信濃、近江、熊野と心の求めるままに訪ね歩き、山川のたたずまいの中に祈りの歴史を感得し、記紀、万葉、説話、縁起の世界を通して古代と現代を結ぶ。瑞々しい魂で深遠の存在に迫るのエッセイの世界。


十一面観音巡礼
十一面観音巡礼 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)
白洲正子 十一面観音の旅 奈良・大和路篇 (別冊太陽 太陽の地図帖 1)

十一面観音巡礼で紹介されている奈良の十一面観音は

国宝の十一面観音 3体

聖林寺の木心乾漆十一面観音立像
室生寺の木造十一面観音立像
法華寺の木造十一面観音立像

重要文化財の十一面観音

長谷寺の十一面観音立像
秋篠寺の十一面観音立像
唐招提寺の十一面観音立像(木造乾漆併用・木造)
薬師寺の十一面観音立像
勝林寺の十一面観音立像
法起寺の十一面観音立像
法輪寺の十一面観音立像
矢田寺の十一面観音立像
霊山寺の十一面観音立像
長弓寺の十一面観音立像

奈良市の文化財(史跡)

王龍寺の磨崖仏(石仏)の十一面観音像

十一面観音って

十一面観音は、奈良時代から多く信仰されるようになり、延命、病気治療などを願って多く祀られるようになりました。

苦しんでいる人をすぐに見つけるために頭の上に11の顔があり、全方向を見守っています。

またそれぞれの顔は人々をなだめたり怒ったり、励ましてくれたりするといわれています。

ちなみに頭上面のうち前3面を菩薩面、左3面を瞋怒面、右3面を狗牙上出面(くげじょうしゅつめん)、うしろ1面を大笑面といい、頂上に仏面を配して11面です。中には本面とあわせて11面となる場合もあります。また11面の配列が異なる場合もあります。 大笑面は、悪行を大笑いして改心させ、善の道に向かわせるといわれています。

十一面観音は
観音菩薩の変化身の一つで、六観音の一つでもあります。

六観音は、聖観音・十一面観音・千手観音・准胝観音・馬頭観音・如意輪観音で、十一面観音像は聖観音に次いで、多く、平安中期に千手観音が現れるまでもっとも信仰を集めたそうです。

十一面観音のご利益って

十一面観音のご利益は
十種勝利(現世利益)と四種果報(死後成仏)というご利益があり、修羅道に迷う人々を救います。

十種勝利は病気から守る、不慮の事故から守られ螺宇、財産や食事の心配がないなど

四種果報は臨終には如来に会える、地獄に生まれ変わらない、早死にしない、極楽浄土に生まれ変わる

こんな後利益があって、わかりやすい観音様ということで、人気があるのですね。

国宝ではありませんが、長谷寺の特別公開の時には、十一面観音様の足元に触れることができるんです。

⇒奈良の長谷寺の所要 時間と拝観ポイント